【認定経営革新等支援機関】
税務顧問はこちらのHPご参照ください。

取締役辞任勧告という開示

2/6開示から「取締役1名に対する辞任勧告の決議及び取締役の辞任に関するお知らせ」を取り上げています。

穏やかではない件でしたので、少し内容を調べてみました。
【開示内容】
取締役が2020年から会社の顧客と個人で取引を行い、また、自社顧客を他企業に紹介することによる手数料(キックバック)を得ていたことが判明したので、当該取締役に対して辞任勧告を決議した。

【ガバナンス体制】
3年にわたる顧客との個人取引や顧客の他社への斡旋、とのことで、正直、誰か気づいていたでしょ?と思慮せざるを得ない内容でした。
会社としては、善管注意義務・忠実義務違反と開示されておりますが、自浄作用が働かなかったのは大変残念だろうと思います。
 同社はグロース市場に上場して数年の企業です。昨今の上場審査は厳しく、特にガバナンスについてはしっかりとチェックが行われているはずですが、少し気になる点も見られます。
 役員構成を有報で拝見すると、取締役は概ね営業ご出身メンバーが多く、社外取締役と監査役(社外含む)で監督機能を構築されている体制です。
 常勤監査役さんが営業系出身でること、また常勤監査役報酬が低いという点について、私の経験では証券会社さんからご指摘を受けるケースだろうと拝見しております。また、法律専門家が社外役員に就いていない点もトレンドからすると少し違和感があるのかもしれません。
 私も、未上場のスタートアップに関与し、役員による不祥事に直面したケースがありますが、企業として大変つらい事象でありました。上場企業となれば、株主への責任が生じることから、自浄作用(気づいた従業員が声を上げることができ、正しく調査が行われる)の構築が必須となる点、攻めと守りのバランスに加えて、CFOの立場では全体把握への取組みが重要であるなと、学びが多い案件です。

※あくまで、IPOに関する個人的雑感であり、個人や法人を貶める意図はありません。