本日取り上げる開示はこちらです。
資本準備金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ(ユーグレナ)
時々見かける開示ですが、いったい何を目的に行っているのでしょうか?
そして資本準備金と資本金でどう違うのでしょうか?
開示の趣旨は、
資本準備金→資本剰余金へ振り替え→利益剰余金へ振り替え、を行い、
結果的にマイナス金額だった繰越利益剰余金(欠損)がゼロにリセットされる、という内容です。しかも、これは株主総会決議事項となります。
繰越利益剰余金という、いわば過去の利益の累計額がマイナスの会社(赤字が続いたということ)が繰越利益剰余金の損失を消して、ゼロの状態にする操作が目的です。
なぜこんなに大仰な手続きとなるのでしょうか?
会社法によって資本金や資本剰余金を取り崩すことは制限されていることが大きな理由です。
株式会社に資金を入れている人としては①株主、②銀行に大きく分けられると思います。①株主は、会社の利益から配当をもらって利益獲得する存在で、一方、②銀行さんは、会社に貸したお金をいずれ全額返済してもらう+利息で利益獲得する存在です。
会社法で、制限されている主な理由は、会社の資本金や資本準備金を利益剰余金に振替すると、利益剰余金からいくらでも配当金支払いができてしまい、会社財産が流出してしまうからです。
本件開示のように、欠損を補填するためだけ(繰越利益剰余金をゼロにするだけ)ならば不要ですが、それ以外の場合は、債権者に周知して異議を受け付ける必要があるのです。
また、株主総会で資本金等を取り崩しする際、資本剰余金よりも資本金を取り崩す方が手続きの難易度が高く設定されていることから、通常、増資時には半額を資本準備金とするケースが多くなっています。